時かけ

スシローで時かけについて考える

回転寿司チェーンのスシローにて。最後のタイムリープ中の回想に、回転寿司で功介と千昭が笑いながら「おーい、紺野、こっち来いよ」とか言ってるシーンがあるくらいで、時かけ的にはかなりシンクロ率の高いロケーションである。スシローはテーブルごとに色…

セカイ系でないということ

時かけの大きな特徴は「未来へと開かれた物語である」ところにある。それは、千昭のいた未来と不思議な絵との関係についての真琴の質問に回答が提示されないままだったり、真琴の「やりたいこと」が秘密とされるまま物語が終わることに端的に現れている。こ…

Blu-rayから変換

ノートPCで見るために1024x576のmp4に変換。思っていたよりはるかに気持ちいい絵になっていてBlu-rayディスクとドライブを購入した甲斐があった。DVDの画質だと大写しになっているほうに目が行くのだが、Blu-rayだとむしろ背景が目に入る。そのへんの感覚が…

真琴のスカートの中身

ミニスカートであれだけ転げまわっておきながら、真琴はその中身を見せることが決してない。不自然といえば不自然きわまりないが、ジュブナイルを原作とする本作のある種文体論的な制約と言えるだろう。 そう思って目をこらして見てみると、ぎりぎり見えそう…

真琴はなぜ馬鹿なのか

実はこれは原作と細田版の根本的な違いから来ていて、それは、タイムリープ が主人公の意思で行われうるかという一点に集約される。タイムリープの能動性という原作からの乖離は、細田版におけるコペルニクス的転換とすら言える。実際、タイムリープという主…

子供に見せること

先日、映画館で観たときに隣にいたのは親に連れられてきていた小学校3年生くらいの子供だった。最初のうちはかじりついて見ていたが、終盤にはだいぶ退屈したらしくそわそわしたりうるうるして涙をぬぐっている私の顔を眺めたり落ち着かない様子だった。結局…

MOVIX橋本での上映終了

1週間限定500円上映は今日で終了。平日だというのに結構入っていて、164席の5番シアターの席が半分近く埋まっていただろうか。スクリーンの時かけは何十回も見ているのに初めてのように新鮮。やわらかいラインが「ああ、今、映画としてみているんだなあ」と…

功介は真琴が好きか

「俺が彼女作ったら真琴が一人になっちゃうじゃん」など思わせぶりな功介ではあるが、親切なのは誰にでも、であって真琴は遊び仲間以上の存在ではなさそうだ。それにしても、果穂の告白をことわった口実でテストの点数がどうとかいうのはどうなんだろう。根…

千昭が止めた時間

千昭が真琴に未来のことを説明するあいだ、時間が止まっている。これは原作の名残りで、深町が和子に未来の説明をしたときの状況を踏襲している。というわけで物語上の必然があるかというとそうでもなくてあまり気にしてもしょうがなさそうだ。そもそも、こ…

タイムリープによる畳み込み

時かけが青春映画として非常に濃い内容となっているのは、物語の前提となっている「タイムリープ」によるところが大きい。何か非現実的なものが存在したらどうなるかを現実の延長として描く手法はSFの世界で外挿法と呼ばれているが、時かけは正しく外挿法に…

初スクリーン

初めて映画館で時かけを観た。背後の人物の動きがとてもよく見えて「あっ、あそこはこうなっていたのか」と思う場面多数。そういう画面の中もそうだが、ディスプレーで見るときと違ってほかの刺激が遮断され、映画が感覚を覆うかたちになるので大迫力。飛ん…

ロシア語版

たまたまロシア語版を見る機会があったのだが、声を当てている人たちがロシア的な重厚な雰囲気で、まあロシア的の青少年はあんなものなのかもしれないが画面と違和感あり。ただ、ロシア語のニュアンス感覚は日本語にかなり近くて、逐語訳がちゃんとロシア語…

ipod touchロック画面

ipod touchのロック画面(iphoneの待ち受け画面に相当)を時かけにしてみた。いろんなシーンを思い浮かべながら考えてみたのだが、ipod touchの無機質なゴツさは時かけの夏の色彩と基本的に合わない。というわけで唯一モノトーンな「Time waits no one」を切り…

ブルーレイで見てみた

自分ではプレーヤーを持っていないのに勢いでブルーレイのディスクを買ってしまった。というわけで知人に頼んで見せてもらった。DVDと比べて解像度が高いのは当然だが、若干落ち着いた色味になっているのもあいまって驚くほど鮮明に見える。時かけの背景の美…

時かけはセカイ系なのか?

検索してみると時かけをセカイ系に分類している人もいないではないが、そのほとんどは分析が甘い。だいたい、主人公から直結するはずの「世界」が登場しないのにセカイ系もなかろうに。その筆頭が岡田斗司夫であって、はからずも「社会とつながらなければな…

待ってられない映画がある

来週末から橋本で見られる、というので今からそわそわして落ち着かない。早くスクリーンで観たい。というわけでじっとしていられないので、オレオレグッズでも作って気を紛らわそうかと思案中。例の分かれ道の標識をプリントしたTシャツなんか楽しいと思うの…

また2006・夏がやってくる!

橋本のMOVIXで10/31から1週間、上映するらしい。しかも500円。念願のスクリーンで見られるということでこれはうれしい。夢枕に立った魔女おばさんに「あなたは私みたいなタイプじゃないでしょ。見たい映画がやってなかったら、走って上映しに行くのがあなた…

高瀬君のこと

劇中ではさっぱり救いがないのだけれど、なんかいろいろ反撃してるみたいだし、彼は彼なりに活き活きしてるからいいんじゃないのかなあ。すべてが説明されてあるべき姿に収まる、というような話が好きなら水戸黄門でも見ていればいいわけだし。時かけは青春…

「未来で待ってる」

この千昭の最後のセリフは本編の終わったあとのいわば余興のようなものだが、それでも映画全体のメッセージを左右するきわめて重要な位置に置かれている。「未来で待ってる」に言外の真意があったりするだろうか。千昭という人物を考えるとあんまりそういう…

目覚まし時計

関連グッズのたぐいを集める気はないのだが、劇中で使われていたものはいろいろと気になる。絵コンテ本を見てたら「無印良品のデジタル目覚まし時計!!」と指定があったので印象に残っていた。で、サマーウォーズを見たあと豊洲のショッピングセンターに無印…

ゴルドベルク変奏曲

時かけの音楽は曲数もバリエーションも少ないが、こんなに印象的なサウンドトラックはなかなかない。特に、バッハのゴルドベルク変奏曲が効果的に使われている。「ゴルドベルク」の表記がどう、という話をしだすときりがない割りにつまらないのでさっくり省…

サマーウォーズ

時かけが好きすぎて冷静な評価ができないのはわかっているのだが、どのみち書かずにはいられないのだから書いてしまおう。キュートで脳天気で元気一杯の紺野真琴と比べていくら美少女でも(浅墓なのは共通しているが)ふわふわした篠原夏希(でよかったよな?…

カフカ「城」

時かけに登場するボランティア部3人娘は何度見てもおもしろい組み合わせだ。特に、上杉と野分のコンビがステレオで真琴に迫ってくる場面はテンポもよくて楽しい。こういう二人組をみて思い出すのはカフカの「城」である。主人公に付きまとうことになる二人…

どこでも時かけ

自宅のパソコンはもちろん、ネットブックやポータブルオーディオ、携帯電話など動画を再生できる機器に片っ端から時かけを入れて試している。同僚がiPod touchからiPhoneに乗り換えたので、安くで譲ってもらって動画をいくつか試してみたが、これがなかなか…

小さな泥棒

時かけは映画欲を刺激する。20年前に見て以来ずっと気になっていた映画がDVD化されているのに気がついて近所のTSUTAYAで借りてきた。シャルロット・ゲンズブール主演の「小さな泥棒」である。今ではすっかりベテラン役者になったが、この頃のシャルロットは…

江戸風鈴?

時かけの音響効果は実に心憎い。毎度「いいなあ」と思うのは、分かれ道で鳴っている豆腐屋のラッパである。これが分岐の出発点を示すマーカーになっていて、真琴がタイムリープするたびに「あ、あの時点に戻ってきたんだな」ということが聴覚的にもわかるよ…

おジャ魔女どれみドッカ〜ン!40話「どれみと魔女をやめた魔女」

時かけの監督の作品ということで見てみた。まさに珠玉の小品。ガラスを透過する光の美しさがとにかく際立っていて、そこだけ見ていてもうっとりするくらいすばらしい。特に、米屋の波ガラスの描写は思わず「これこれ!」と叫びたくなるくらい情感にあふれて…

何回観ても飽きないわけ

2週間でもう20回くらい観た。毎度毎度集中して観ていると体力がもたないので、何かしながらだったりのことも多いのだが、とにかく飽きない。作品から一方的に情報を受け取るだけであればすでに満腹しているはずなのだが、そうでないのは時かけがすぐれて対話…

耳をすませば

時かけと似たような位置づけの青春映画としては、ジブリの「耳をすませば」がある。この作品はいたるところに圧迫感というか息苦しさがにじみ出ていて、正直なところ私はあまり好きではない。こういった面は原作からみられていたものの、映画となっていっそ…

ジョゼと虎と魚たち

時かけと比べうる甘酸っぱい青春映画って何があるかなあ、と考えて思い出したのは「ジョゼと虎と魚たち」(ジョゼ虎)。田辺聖子原作で、妻夫木聡演じる頭空っぽの大学生と池脇千鶴演じる足の立たない少女の恋愛を描いた作品である。大学生のほうはともかく…