江戸風鈴?

時かけの音響効果は実に心憎い。

毎度「いいなあ」と思うのは、分かれ道で鳴っている豆腐屋のラッパである。これが分岐の出発点を示すマーカーになっていて、真琴がタイムリープするたびに「あ、あの時点に戻ってきたんだな」ということが聴覚的にもわかるようになっている。3回目のタイムリープに至っては青空に豆腐屋のラッパが分かれ道の映像に先行していて、真琴の心理上の変化を反映すると同時に単調さから逃れていてうまい。

功介を追って踏み切りに駆け込むシーンのヘリコプターもちょうど同じ役割、と思ったが戻ったときには千昭が時間を止めているので音は聞こえないのだった。

真琴が「01」に気づくシーンでは風鈴が鳴っているのだが、いかにも風鈴らしいリーンという音ではなく、江戸風鈴のようなガラスっぽい短い音である。東京に住む身としてはこういうあたりいかにも「古くから住んでる家なんだなあ」と感じるのだが、深読みしすぎか。