何回観ても飽きないわけ

2週間でもう20回くらい観た。毎度毎度集中して観ていると体力がもたないので、何かしながらだったりのことも多いのだが、とにかく飽きない。

作品から一方的に情報を受け取るだけであればすでに満腹しているはずなのだが、そうでないのは時かけがすぐれて対話的な作品だからだろう。

しかもそれは「謎で誘いこんで作品世界に絡めとる」といった手法ではなく、よく練られた情報を過剰にならないよう慎重に提示する、という実にストイックな方法論から来ている。

そのおかげで、私は(マニアックなアニメ作品にありがちな)情報の渦にのみこまれることなく、作品としずかに対話する時間を楽しみつづけることができている。

対話的であると同時に体感的であるのも時かけの特徴である。等身大の視点というか、主人公が見たり聞いたりするのと同じレベルの情報が入ってくる(ように感じられる)ので、あたかも真琴と一緒に、あるいは真琴になりきって時間を共有することができる。

映像作品はきわめて特殊なものをのぞいて3人称で(要するに主人公が画面に映っているということ)、ともすればあらゆるものをみおろす神の視点から語られがちである。そうすると俯瞰的になってしまうわけである。

そんなわけで時かけを見ながらすごす98分はとても豊かで楽しい。