家族が世界を救う話

そういえばエヴァって家族で世界を救う話だ、基本的に。シンジの姿勢は後ろ向きだけれど、家族が否定的に描かれているかというとそうでもない。ただ、家族が家族として動くのではなくて、家族のメンバーがそれぞれ動いているのが特徴的なだけで。

もっと言えば、家族が世界を救う話は少なくても、家父長的擬似家族が世界を救う話はいくらでもあるわけだ。

と考えてくると、サマーウォーズのストーリーは実はずいぶん陳腐だ。もちろんだから悪いということはない。結局、「家族を家族として描いた」というところに意味があるのであって、OZだの何だのはその描きのための書き割りということかもしれない。

だからサマーウォーズ小津安二郎の「東京物語」逆の「上田物語」なのだ。東京で夫を失って嘆く紀子と対照的に、上田で夏希は伴侶を得る(得たのか?)。両方とも夏にばあさんが死ぬ話だが、尾道では静かな日常が、上田では祝祭が待っている。根底にある価値観は大して変わらないはずなのだが、それを表現する方法論がちょうど半回転したところに来た、ということかもしれない。