早川さんのこと

「あたし、千昭のこと好きだ」と告げる真琴に、友梨は「行きなよ」と冷静に送り出す。初めて見たこのシーン、友梨が怒るもしくは暴れることを予測していた私には拍子抜けだった。

作品進行の都合上、と言ってしまえばそれまでなのだが、そこにとどまらないものを感じるので私なりの解釈(というか妄想)を並べておこう。

友梨は千昭と真琴が互いに好意を持っていることをもともとわかっていたのだろう。それでも千昭と付き合おうとしない真琴を見て、おそるおそる千昭に接近しようとしていた。その矢先に真琴がきっぱり千昭への好意を告げたので、千昭への淡い想いを真琴への友情に譲ったのであろう。思えば「友情には感謝しなさいよ」とはずいぶん示唆的な発言ではないか。

千昭と付き合う展開では真琴に「いいことあったよ」メールはしても、真琴の質問には沈黙していたし、一緒に昼飯に行かないのもずいぶん半端な言い訳をしていた。やはり千昭と真琴の間に流れる微妙な空気を察知していたとしか思えない。

それにしても友梨とつきあうバージョンでの千昭のニヤけた顔がおかしい。そして、ふてくされた真琴のやけ食いはもっとおかしい。リセットしてしまうには惜しい展開だった。

と、ここまで書いてきて「これってギャルゲーとそっくりじゃないだろうか」と思ったが、私はギャルゲーをまじめにやったことがないのでよくわからないのだった。

10/1追記:

高瀬君が消火器を投げるシーンでなぜ友梨に当たったのだろう、と思って注意深く見返してみたら、千昭に向かって思わず駆け出した矢先に消火器とぶつかった、ということのようだ。芸が細かいなあ。

友梨が千昭への思いを募らせるのは物語りが始まって以降で、スクリーンにはその経過が長々と映し出される。が、真琴が友梨に宣言するのは教室での掃除の場面の「つーか何で千昭の話」の直後ということになる。ここ、時間の後戻りが大きいので感覚がつかみにくい。